undulation house」(建築科12組 佐藤 佳代)

風光明媚な南傾斜の敷地が設定された課題である。敷地内には出来る限り現在位置のまま保存すべき樹木と巨石があり、これらを景観や庭やインテリアなどとしてプランニングに取り込み保存できるよう計画することがテーマである。家族構成は40歳代夫婦と子供2人(長男:高校3年生、長女:中学3年生)と父親のお父さん(70歳代)の5人家族とする。

各自が設定した景観をいかに意識し、また傾斜地をどこまで有効に活用できるかがこの課題に求められる重要な要素である。

[コンセプト]

直線で区切られた空間で生活をしていると、いつしか、様々なものを見過ごして暮らすようになるではないだろうか。地形から引き出した自由曲線を基にした空間に住む事で、自然環境の” 目に見えないネットワーク” を感じるきっかけとなり、大地と寄り添い、より豊かに暮らすことができるのではないかと考えました。

施主は、生物学者の祖父。長期休暇には息子家族が滞在し、時間を共に過ごします。子供達にとって、祖父と自然を探索することは、自然が作り出す神秘に目を向ける貴重な時間です。目指したのは「自然を愛する家族の特別な時間をつなぐ家」キーワードは、波動・うねり・起伏を意味する”unduration” としました。敷地は、伊豆大島南部。活火山の火山灰等の堆積物によって、長い年月を掛けてつくられた地層の褶曲・露頭、大地の年輪。建物外観は、起伏に富んだランドスケープに合わせ、海と丘を繋ぐように設計しました。内部空間は、合板を重ね合わせて構成した柱と家具を主体とし、積層した大地を憶わせます。

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