「共・奏・響・郷 ~音楽で繋がる第二の故郷を~」

住宅設計デザイン科11組 西村霞・細谷奈々子・宮本大輝・森由美子・森田祥平・汪浩)

この課題の敷地は渋谷区南西部に位置し、東急東横線代官山駅から徒歩3分の距離にある。住宅地のほか、ブティック、洋菓子店、レストラン、カフェなどの商業施設も多い。「代官山」は住みたい街のアンケートなどでもしばしば上位にランクインする人気地域となっているように、多くの人が「おしゃれ」「都会的」「閑静な」といったイメージを持つ街である。このイメージは1969年から1998年までの約30年の歳月をかけて槇文彦という一人の建築家と同じ施主によって建築された「ヒルサイドテラス」によって造り上げられたといっても過言ではない。

敷地はこの代官山の象徴とも言うべき「ヒルサイドテラス」の一群が建つ旧山手通りに沿った角地にあり、人や車の多い、視認性と象徴性のある場所である。現在は数棟の商業施設(店舗)等が建っているが、ここをひとまとまりの土地として新たな建築を計画する。この敷地はメイン道路に面してはほぼ完全に商業化されている。それでも一歩裏の通りに入ると、そこはまだ住宅地としての顔も併せ持っている。つまり、街を象徴するランドマークであるヒルサイドテラスや代官山T-SITE、代官山特有の裏路地や小さなショップ、カフェなども含めて、この地域は「店舗」と「住宅」という、相反する用途が混在した街であり、この一見、規則性のない雑多さがこの街の独特の雰囲気を醸しだし、魅力ともなっているのである。

そこで、本課題では「住宅」と「その他施設」の新たな関係とバランスを再構築することをテーマとし、さまざまな家族が住む住宅と多様な用途の施設、コモンスペースを一体的に計画していく。経済性や公共性、利便性などを維持しつつ、この土地で家族と暮らす住宅としての環境(日照・通風等の快適性、プライバシー・セキュリティーなど確保)の整備及びコミュニティー(敷地内及び近隣周辺も含んだ)の新たな構築を提案する。

[コンセプト]

計画敷地は、アートな街というイメージがある代官山。周辺を調査した際、東京音楽大学やライブハウス等、音楽関係の建物が多くある事に気が付いた。これからの代官山はアートだけではなく、音楽の面でも栄えていくのではないかと。そこで、音楽がもつ人と人を結びつけるコミュニティを形成する。コンセプト“ 共・奏・響・郷” は、利用者・居住者が流れ行く時間を共に過ごし(共)、同じ場所に集まりメロディーを奏で(奏)、街全体に音が響き渡る(響)、第二の故郷となるような場所(郷)という意味である。建物の形は楽器の一つでもあるバイオリンをモチーフとして考え始め、建物を階段状に積み重ねた。建物の外側も移動ができるつくりで、全体をまわりながら、音楽に触れ合うことができる。また、曲線を使う事で、音楽特有の滑らかな空気を形として表現ができる。各住戸・共有スペース・シェアハウスにも音楽要素を取り入れる事で、住人同士の繋がりが生まれる。敷地のどこにいても、音楽で包まれているように敷地全体が、音によるサウンドスケープになる。音楽の街、代官山。アートについで、音楽という新しい一面と共に、地域を活性化できる集住住宅のある複合施設を提案する。

ギャラリー

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