建築設計デザイン科2年 環境デザインコースでは、既存建物のリノベーションを計画します。場所は、東京・江東区東雲(しののめ)の集合住宅を対象としました。
東雲は埋立地
ゴミの焼却処分としての埋立地は今後20年以内で限界を迎えると云われている。東雲キャナルコートは集合住宅なので、家庭ごみの内訳について調査してみた。結果、全体の4割以上が生ごみであることが解った。
生ごみは水分を多く含んでいるため、焼却処理する際に使用するエネルギーも大きい。よって、焼却処理せずに有効活用できないか考えた。
「食育」と「植育」
「食育」とは、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な「食」生活を実践することができる人間を育てること。
「植育」とは、播種から作物の収穫までの植物が生長する過程を通してその重要性を学ぶこと、また収穫した作物を調理して食べるといった一連の体験のこと。
食育と植育は、自然や食への知的好奇心や感謝の気持ちを育み、心と体を豊かにする様々な可能性を秘めている。しかも、植育で食育することで、家庭の生ごみを減らすことができる。
1階は区画道路から直接入れるため、敷地外からの集客も見込んでレストランとマルシェを配置した。
2,3階には少し落ち着いた環境が整っていることから、長居できるカフェを配置。カフェと相性の良いフラワーショップ・グリーンショップを併設した。
4階は地上から離れているため、2,3階のように容易に立ち寄るような施設ではなく、目的を持った人が習い事を行うスペースと、ワークショップの作品を展示するためのギャラリーを配置した。
1階のマルシェでは、都内西部近郊の契約農家から旬の野菜を仕入れて販売することを想定している。この食材をレストランでも提供する。
2,3階にバルコニーを設けているので、客席は積極的に外のピロティも活用している。
カフェとフラワーショップを併設することにより、カフェの環境を向上させている。バルコニーを各階に設けることにより、室内の温熱環境を良くすると同時に、syokuikuのための野菜栽培のスペースを確保している。家庭で植物を育てる相談もできる。
作業スペースを設けており、コンポストの使い方や、植物の育て方など、ワークショップを開催できる。
4階にある5つの部屋は、習い事、貸しアトリエとして使うことを想定している。習い事は、生け花、絵画教室など住民同士または、外部主催など、自由な使い方を想定している。
各階で広いバルコニーを配置しているので、吹き抜けを設けて自然光を取り入れるようにした。各フロアの様々な形の光が共有それぞれ共有される。これにより、温熱環境、彩光環境とも快適な室内環境を提供し、バルコニーでのsyokuikuすることを目指している。
各家庭で作られたコンポストの堆肥は、家庭菜園の土として活用。カフェで作られた堆肥や家庭で余った堆肥は近隣の小中学校に寄付し、syokuikuコミュニティを広げるきっかけとなる。排出される生ごみの減量化により埋立地の延命にもつながる。