初めて建築を学び始めて2年間の集大成。卒業制作で自分の考えを表現してみました。

 

「つどい処」

私の地元である岩手県花巻市の商店街を計画敷地とした。

岩手県は自然豊かで、三陸海岸や八幡平といった観光スポットが県内に点在している。花巻市は岩手県の中央部に位置しており、岩手観光の起点となりうると考えた。 気候は、年平均気温10.8℃、1月最低気温-6.1℃、積雪20㎝程度と東北地方であるが雪は多くない。

 

計画地である上町商店街は花巻駅から徒歩10分程度に位置している。花巻祭りと呼ばれる祭りの開催時は多くの人で賑わうが、それ以外は集客の見込みのない店舗、空き店舗が目立つ閑散とした商店街と感じる。

そのような商店街の3か所にゲストハウスを展開し、商店街の活性化と岩手観光の促通をはかりたいと考えた。

 

コンセプトを「つどい処」とした。

これらゲストハウスは岩手観光に来た人々が滞在する拠点となり、生活道路とし利用する地元民がふらりと立ち寄ることのできる場所としたい。観光客や地元民が思い思いの過ごし方で集う場所となってほしい。つどい処は閑散とした商店街に人々を集め、商店街に活気をもたらす、そんな建築を目指した。

 

今回の計画を考える上で、コンセプトに絡め、3つのシーンを考えた。

一つ目は木陰。ただ広く開かれた空間には人は集まりにくいが、そこに木があると人々はその木陰を利用し休んだり談笑したりと過ごし方に変化がおきる。この木の役割を柱にもたせた。様々な高さの建築物からは多くの柱が地面に落ち、人々が集う空間がうまれる。

二つ目は外部空間。寒冷地では寒さ対策として、開口部が少なく、厚着をしたような建築物が目立ち、この商店街に立ち寄った人々が集う場所は内部に限られ目的をもった滞在場所となる。この建築物では高床式を採用することで下の空間に余白を持たせ、デッキやバルコニーを用いて外部に開き、人々が気軽に集う場所を目指した。

 

三つ目は人々の動き。商店街側に向かいあうように密集した建築物。柱が特徴的なアーケード。特に敷地奥には中々人が入りにくい敷地だが、アーケードの柱が敷地ににじむように、敷地奥にかけて柱数を減らし、建物へと変化させることで人々を敷地奥へと導き、どの敷地でも人々が集う場所となるよう狙った。

 

ダイアグラム。

商店街内の建物に合わせ、長方形のボックスから考えた。分割した後、左右、高さをずらし外部空間に余白を持たせた。

 

続いて建築物の外型を考える上で環境面の問題を考えました。風、熱、雪、光の4点に着目した。

風に関して。計画敷地にはどの方向でどの程度の風が吹き込むのか、解析ソフト「FlowDesigner」を用いて解析を進めました。画面左が夏、画面右が冬の結果。夏は南から北方向へ、冬は逆方向へ風が抜けている。そのため、開口部を建築物の南面と北面に多く設け、建物が建ったとしても敷地内に心地のよい風が抜けるように計画した。

熱に関して。寒冷地に建つ建物として寒さ対策を解析した。画面左、壁厚100mmと断熱材を含め壁厚200mmの比較。熱の移動を矢印、温度を色で表現した。予想通りの結果となった。

雪に関して。屋根には陸屋根を採用。写真のマゼンダ色で囲っている箇所はルーフヒーティングを採用。また、青矢印で流れの方向を表している。片流れを採用し、敷地の端に雪が落雪することを考慮した。

最後に光に関して。敷地周辺は建物が密集しているため、敷地の南側の高さを抑え、建物全体に光が入ることを考慮した。

 

これらを踏まえ商店街内の三つの敷地にゲストハウスを展開させた。

商店街の南側、ゲストハウス1。ここはショップやお祭りの体験教室などを一階に配置し、二階、三階にかけてふたつのゲストハウスを展開させた。一階。動線に合わせてタイルを敷き、地元民が訪れやすいようショップやお祭りに関わる店舗を展開しています。二階には2つのゲストハウスのリビングが展開。敷地内にアーケードを張り巡らすように外部通路を設け人の動線を楽しめるような高さ関係とした。三階は二つのゲストハウスの寝室を展開させている。また、下からつながる外部通路はこの三階で既存のアーケードにつながりアーケード上を歩くことができるようにした。このゲストハウス1では既存アーケード側に多くの柱を落とし、空間に余白を持たせることで敷地奥に人々を誘う。どの位置からも人の動きが見えアーケードが敷地ににじむような印象を持たせている。

ゲストハウス2。ここは計画敷地で最も狭く、両側に周辺建物が密集している敷地である。アーケード側にショップ等を配置し、北側に一階から三階までのゲストハウスを一つ展開させた。一階では敷地中心に開かれた広場を設け人々が集う場所としています。二階、三階へと縦動線を意識しテラスを設けながら集うエリアを要所要所に設けた。

最後にゲストハウス3。ここはゲストハウスのフロント、レストラン、図書館を展開させた。レストランはゲストハウス利用者の朝食会場としても利用される。一階には動線に合わせタイルを敷き、道路側に多くのバルコニーを設けることで集いやすい空間を各所に設けた。二階にはテラスを多く設け、集い留まる場所としている。三階は既存アーケードに向かう動線を設け、敷地北側には静かに読書を楽しめる図書館を配置した。環境面としても敷地内を動線に合わせて風が通り抜けます。また、1番高い位置にあるレストランは軒を大きく出すことで南西側に大きな窓を設けても、夏場に関わらず日射が入り込みすぎないようになっている。朝食会場やランチ会場としても快適な環境下で過ごすことができる。敷地内外からアーケードの存在を感じられ、人々の動線を楽しみながらバルコニー等を利用し気軽に集うことを狙った。

この3つのゲストハウスを介して、観光客が集い、地元民がふらっと立ち寄り集う場所、つどい処となることを願う。

ギャラリー

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