これは建築工学科と建築設計デザイン科、住宅設計デザイン科の1年生の前期課題の一つです。
「家」を設計することは、人間の様々な行為の在り方を理解し、具体的な空間としてつくりだしていくことと言えます。「身支度をする」「料理する」「食べる」「入浴する」「洗濯する」「排泄する」「寛ぐ」「寝る」などの基本的生活行為を理解することは、建築を設計することの基礎となります。今回は、基本的生活空間のスケールを把握し、それを機能的な空間に計画し、プラスアルファとして各個人が望む特殊解的な空間を融合させることを目的とした課題です。
都市の限られた場所に、夫婦と子供一人の家族のための生活空間をつくる。家族の具体的な設定は各自が自由に考えます。用途は「併用住宅」とし、住宅用途と非住宅用途(母親が教える習い事の教室)を併せ持つ建築とします。また、外構をそれら用途と関連づけて一体的に計画し、明るく開放的な空間にします。計画に際しては、敷地やその周辺環境をしっかりと読み取り、コンセプトに反映させ、各自が設定した二人の仕事、趣味、交遊といった社会との関わりや、食事、入浴、睡眠、くつろぎなどのライフスタイルをできる限り具体的に考え、都市のなかで暮らすということをリアルに表現していきました。
このように、与えられた条件をしっかりと読み取り、そこに住む人の生活を見つめ、都市との関わりを含めた新しい暮らしの在り方について、多くの提案がなされました。
「露地のある家」(住宅設計デザイン科1-1 須藤洋恵)
今回の課題では、内と外をつなぐ装置としての露地空間に着目しました。
私たちの生活には様々な形で露地や土間空間が存在しています。
日本の町家の通り庭は、流動的な場でありながら、外と接触する滞留の場になっています。
土間は夏でも涼しさを感じる空間になっていて多目的な場となっています。
南欧でのパティオは中庭を導線の要として生活が成り立っていますが、この空間を余裕の場や楽しむ場として位置付けられています。
露地や土間には内と外をつなぐ空間として様々な役割があります。
人と人とのコミュニケーションの場であったり逆にプライバシーを守る空間です。
このような役割を持つ露地(路地)を家の中に取り込み、生活の中心に置くことによる空間の繋がりを考えて設計しました。